ティール組織 Q&A

こちらの記事で第4次産業革命時代にふさわしい新たな組織体系であるティール組織について説明を行いました。

 ティール組織導入する際に、少なからず一般労働者からいろいろ問い合わせが来ることでしょう。現在私でありますが、ティール組織を実際に導入しようとされている2社の会社さんの社長さんとご縁を持たせて頂いてます。その社長さん達から話を伺い、ティール組織を導入する際に実際に出てきている従業員からの問い合わせ内容とそれに対する会社側の回答の例とそれに関する解説をまとめてみましたので紹介します。

 ぜひとも経営者の皆様、および一般会社員の皆様に読んで頂き、ティール組織導入にあたりどのような懸念事項が考えられるか頭の片隅にでも留めてもらえたら幸いです。


 一般職・管理職の枠組みはどうなりますか?
 役職を無くしてフラットにします。役職は職制ではなく役割として運用していきます。

(解説)
 ヒエラルキー組織では社長、部長、課長、係長・・・などの役職があります。また、役職によって賃金も決まるのが一般的でしょう。
 ところが、ティール組織ではこの役職が無くなり皆がフラット(対等)な身分になることを指します。皆が対等な身分になった上で、各々が自発的に役割を考え、企業を存続させるために活動しようと言うのがティール組織の目的です。
 例えば身分がフラットになるので、一般的に皆が無意味だと考えているような承認業務も無くなります。また、それがもし企業を存続させるためにほんとに必要なものでかつその活動が利益を産みだすものだとしたら、そう考える人がその行動をすればいいだけです。
 クレーム等で「上を出せ」と言われた場合 の「上」は、何をもって誰を指すことになるのでしょうか?
 社内の状況や機能について十分に理解し、会社としての受け答えができ、問題解決に向けて多くの人員をリードできる能力のある人物となります。

(解説)
 ティール組織導入時はその直前で社長、部長などの役職に就いていたような人が「上」に相当する人となるでしょう。
 ティール組織導入後は、クレームが入ったとして「我こそが対応する!」と企業存続のためにそう最初に思った人が対応すればよいと考えます。
 会社との雇用契約はどうなりますか?
 就業規則や雇用契約に抵触する事項について変更が必要となります。

(解説)
 一般的に、ほとんどの企業が現代導入している雇用契約ではそのままティール組織を導入できないのが現実だと思われます。一般従業員は経営を行う義務も無ければ、責任を負う必要も無いそのような契約になっているはずです。経営者、従業員が納得行く内容で雇用契約内容を修正し、契約を結びなおす必要があるかと思われます。
 ティール組織が嫌な場合、辞職することを選んだ場合は自己都合扱いになりますか?
 自己都合です。なぜなら、会社は雇用を継続する意思があるからです。

(解説)
 会社にはいわゆる使えない窓際族と呼ばれる方々もいらっしゃることでしょう。そういった方々にとってはティール組織の導入というのはデメリットしかありません。ティール組織を避けるべく行動を起こすでしょう。
その際、そのような方々は会社都合で自分たちの居場所を無くしたと駄々をこねる可能性があります。しかし、会社はあくまでもそのような人の首を切るというわけではありません。従って、もしそのような方々がティール組織の会社を辞めるからと言って駄々をこねても、自己都合扱いになります。
 費用面で経費使用権限についても従来の方法を見直して、全員に責任を持った使い方に変わるのでしょうか。
 もちろん全員に責任を持った使い方に変わります。

(解説)
 ティール組織のでは皆が公平な立場で、皆が公平に企業存続のための経営の判断を行い、それに伴う責任を負う事になります。公平に経営の判断を行うためには、会社の財務状況も公平に知ることがができ、経費も公平に使用することが可能となります。
 勤務地については、各々が最適な場所で仕事ができるようになりますか?
 各々の判断で最適と思う場所で仕事が可能となります。

(解説)
 企業の存在理由に沿い、自分が経営者ならばそうすると思うのであれば、勤務地の変更は自身で変更可能となります。ただし、単に快適だから、そうしたいから、などの、個人のエゴであればそれはもちろん許されないでしょう。
 誰もしたくない仕事は誰がするのですか?例えば雑用など。誰もしたくないし、業務として評価 されない仕事は誰もしたくないと思います。押しつけられた人は断れますか?みんなが断ったら 誰がすることになりますか?
 自主経営の観点から、その問題を解決するために全員が動くのがティール組織の考え方です。 ティール組織の基本は、「存在目的」に基づいて個人の自主性を発揮するものです。
存在目的に必要な業務であれば誰かが実施をする責任を持っているはずなので、その方が実施する事になると考えます。 例えば、自分の赤ん坊のオシメの交換を、自分の役割では無いから、やりたくないからと誰も放置はしません。 それが自己責任100%であるということです。


(解説)
 ティール組織では誰からの指示が与えられるわけでは無く、、あくまでも自身が考えて行動を起こす必要があります。やりたくない仕事であればやらなくても良いということになります。  企業存続のためにやらなければならないと思ったのであれば、その人が行動すれば良いという考えになります。
 中長期計画がこの組織を導入して未達の場合の責任は誰がとるのでしょうか?
 現状の組織形態においても、本質的な責任は株主とその連帯責任者が負っています。ティール組織になってもその責任範囲は変わりません。

(解説)
 まず、ティール組織になり皆が公平な立場と言えど、現在の日本の会社法より代表取締役社長を一人置く必要があります。そして、その代表取締役社長が法的には責任を負う事になるでしょう。  しかし、ティール組織では法的に決められているわけではありませんが、気持ち的な面で皆が公平に責任を負おうという考えになります。
 ティール組織において、責任の範囲を教えてください。責任を負う=給与という面もあります。自社製品の過失による死亡事故が発生した場合、刑法の業務上過失致死にあたると思います。このような責任もティールの担当者が担うのであれば、責任に応じた給与はもらえるのでしょうか?
 金銭的な責任、法的リスクは会社が負います。もしも社内で個人が大きなリスクを負うことで大きな業績効果を得たのでああれば、相応の報酬を自己申告により得てください。
 給料を自分で決めるとありますが、決める基準はどうすれば良いのでしょうか?自信過剰な方や控えめな方もいます。 不公平にはならないでしょうか?原資は決まっているでしょうから、自己申告の給料を検査する部署や人も必要になりますよね?であれば、言葉が変わるだけの評価と同じではないですか?
 自主決定において、他者の給料に対しては、メンバーがそれぞれ相互チェックする形になります。基準は準備する予定です。
自主決定をするために必要な「世間相場」、「社内相場」などを展開し、周囲の意見も参考にした上で自分で自分の報酬を請求するようにしたいと考えています。会社が存続できるように、総額を原資と比較をする委員は必要と考えています。 自己評価は同条件ですので、不公平とは考えていません。


(解説)
 皆が公平になるため、上司が部下の評価し給料を決定するという概念はもちろん無くなります。それでは個々人の評価・給料は誰が行う事になるのかというと、この会社では各々が自分で決めることになるようです。
 ただし、その際公平に皆の給料は決定される必要があるため、この会社では他者の給料に対して、メンバーがそれぞれ公平に相互チェックする形になるようです。  つまり、ヒエラルキー組織において部下だった人が上司だった人の給料の確認を行い、問題があれば是正を行うというやり取りも生じるという意味合いになります。

 これ以上はその会社特有の内容も含まれ特定の恐れもあるため、他にも、従業員より様々な問いかけが投げられているようです。

 従来のヒエラルキー組織において、個々を尊重させた働き方を行う事は難しいかと思われます。個々がますます尊重される時代であるこそ、ティール組織はまさに現代に適した組織体系であると思いますが、ティール組織を導入するのもやはり難しいのは事実です。

 ティール組織にこだわる必要は無いかと思いますが、これからの時代を勝ち抜くために、経営者と従業員がともに真剣に自分たちの仕事のことを考える必要はあるかと思われます。

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